サクラ色ト、パンドラノ箱ト、、

冷たい雨も寒い風も、
なにもかもが一直線に繋がったとき、
それは心をサクラ色に誘う。

魔性の香りに足を踏み込んで、
疵付くコトを怖れて遠ざけようとしていたけど、
パンドラの中に封じ込めた想いは、
あの人の一粒の涙であっけなく開いた…

あれからちょうど3年。

結局、
あの冬の日に渡せなかったモノと想いは、
押入れの奥に封印したんだっけ。



サクラ色ト、パンドラノ箱ト、、

ときは流れ、
さくらの蕾がいまも咲きそうな季節の誕生日、
あの人はさくら咲くタンブラーを私にくれた。

気持ちを抑えきれずにはにかんで、
心の中を覗かれてしまいそうな気がしていたよ、
終わらせていたはずだったのに…

だから、
其れは思い出しそうになるコトを怖れて、
使うことさえも出来ずに、
いつしかしまったコトすら忘れていた…



2度目の同じ季節を通り越して、
また寒い冬が訪れようとしていた頃、
渡せなかったモノと使えなかった
其れを見つけたよ。

渡せなかったモノは、
綺麗な想い出になったと誰かに伝えたくて、
寒空の下でも肌身離さずに持ち歩いてた。

其れは、
ただ使い出すきっかけを失ったまま
机の上でオブジェクトと化していた。



ちょうどその頃、
あの頃と同じ魔性の香りを放つ
あなたの存在に感付いた。

一歩足を踏み入れれば、
其れは私の負けとなるコトを知っていたし、
手の中にある幸せを捨てるつもりも無ければ、
無駄な疵痕を作るつもりもなかった。

でも、
冷たい雨の降る夕暮れドキ、
ふと使われるコトのなかったタンブラーを
あなたに貸し出した。

其のときは深い意味など考えずに…

でも、思えばあの瞬間から、
何かが始まってしまったのかもしれない。



たったひとつのボタンの掛け違いから、
手の中にあったはずの幸せは少しずつ零れていった。

描いた未来は完璧だったはずなのに、
気付けば『もしも…』というコトバが
頭に浮かんでは消えてを繰り返すようになっていた。

掛け違えたボタンは、
全部はずして一から付け直すしかないみたい。

幸せな未来はどちらにあるのか分からぬまま、
再出発地点まで辿り着いた。



さくら咲くタンブラーは、
何ゴトもなかったかのように机の上に置かれ、
あなたに貰った紅茶が注がれる日々を
私の傍で過ごしている。

パンドラの箱にしまい込んでいた想いは、
いま小さく蕾から花へと変わろうとしている…

此の先にどんな結末が待っているのか、
私にはまだ分からない。

其れでも、
描いた未来へ進んでみないと…ね。


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題名:「サクラ色ト、パンドラノ箱ト、、、」
部門:文章表現部門A「エッセイ」

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